いきなり、名詞を差し出した。
わけもわからず受け取り、目を落とし、「マッド・・・リアリティーフリー・・・ク?」と、書かれる
字のままにつぶやいていた。書かれた英字を見てマーブル模様ような胸騒が疼いた。
「ステキだったから・・・その、あなた・・・」
「・・・・・・」
呆気に取られ、一瞬、顔を見た。
「って、いうのは真っ赤な嘘ですけどね」といってハハッとバツが悪そうに軽く頭をかいてみせた。
着慣れないドレスを着て、実際、居心地の悪さを感じながらそこに座っていた私のとなりのイスにやにわに腰をかけた。
この不躾な事実をどう処理したものか、困惑は隠しきれなかった。
さも、あまり長居をする気は無いといった風情で、いすに股を大きく開いたまま浅く腰かけ
「僕、写真家を目指してるんですけど、傍ら、この会社のようなものもちょっと・・・」
「・・・・・」
「最近は、インターネット上で自分の写真が簡単に公開できるし、それを買ってくれる人がいれば
そこそこの収入にはなるんですけどね、いや、この会社は数人の仲間と経営してます。
変な名前ですか?」
「いや、あの・・・狂った?って・・・マニア?」
「狂った?っていうのはエム、エ〜、ディーじゃないですか?よく見てくださいよ?真ん中ユーなんです」
「え?」
もう一度、名詞を見直すと確かに「MAD」では無い。
「MUD」だった。
起こった事態に気をとられ、勝手に勘違いを起していたらしい。
でも本当ならば、形容詞に変換されてなければならないはずだと密かに思った。
「間違いじゃないですか?」と切り返そうと思った言葉を呑みこのんだ。
(それにつけても、なんだか不穏な名前。泥?だったらダーティーのほうが?)
初対面、それもほんの一時、いらぬ詮索は止めようと思い心にしまった。
どれほどの間があったのかは覚えていない。確かにそう感じた名前。
今となっては、それが仇だったのかもしれない。
曰く「世の中の汚れた部分も、全て写真という記録で表現したい」のだそうだ。
「今、サイパンから帰ってきた所なんですけど、どうせ通り道なので、ちょっと寄ってみたんです。
このホテルのホームページを飾ってる写真家が好きなので、どんな建築なのかついでにちょっと
確かめようかと思って、いや、ほんの思いつきだったんですけど、思った以上のホテルですね」
そういって、カウンターの上の黒く光るカメラをまた手に取った。
いきなり、名詞を差し出した。
わけもわからず受け取り、目を落とし、「マッド・・・リアリティーフリー・・・ク?」と、書かれる
字のままにつぶやいていた。書かれた英字を見てマーブル模様ような胸騒が疼いた。
「ステキだったから・・・その、あなた・・・」
「・・・・・・」
呆気に取られ、一瞬、顔を見た。
「って、いうのは真っ赤な嘘ですけどね」といってハハッとバツが悪そうに軽く頭をかいてみせた。
着慣れないドレスを着て、実際、居心地の悪さを感じながらそこに座っていた私のとなりのイスにやにわに腰をかけた。
この不躾な事実をどう処理したものか、困惑は隠しきれなかった。
さも、あまり長居をする気は無いといった風情で、いすに股を大きく開いたまま浅く腰かけ
「僕、写真家を目指してるんですけど、傍ら、この会社のようなものもちょっと・・・」
「・・・・・」
「最近は、インターネット上で自分の写真が簡単に公開できるし、それを買ってくれる人がいれば
そこそこの収入にはなるんですけどね、いや、この会社は数人の仲間と経営してます。
変な名前ですか?」
「いや、あの・・・狂った?って・・・マニア?」
「狂った?っていうのはエム、エ〜、ディーじゃないですか?よく見てくださいよ?真ん中ユーなんです」
「え?」
もう一度、名詞を見直すと確かに「MAD」では無い。
「MUD」だった。
起こった事態に気をとられ、勝手に勘違いを起していたらしい。
でも本当ならば、形容詞に変換されてなければならないはずだと密かに思った。
「間違いじゃないですか?」と切り返そうと思った言葉を呑みこのんだ。
(それにつけても、なんだか不穏な名前。泥?だったらダーティーのほうが?)
初対面、それもほんの一時、いらぬ詮索は止めようと思い心にしまった。
どれほどの間があったのかは覚えていない。確かにそう感じた名前。
今となっては、それが仇だったのかもしれない。
曰く「世の中の汚れた部分も、全て写真という記録で表現したい」のだそうだ。
「今、サイパンから帰ってきた所なんですけど、どうせ通り道なので、ちょっと寄ってみたんです。
このホテルのホームページを飾ってる写真家が好きなので、どんな建築なのかついでにちょっと
確かめようかと思って、いや、ほんの思いつきだったんですけど、思った以上のホテルですね」
そういって、カウンターの上の黒く光るカメラをまた手に取った。
いきなり、名詞を差し出した。
わけもわからず受け取り、目を落とし、「マッド・・・リアリティーフリー・・・ク?」と、書かれる
字のままにつぶやいていた。書かれた英字を見てマーブル模様ような胸騒が疼いた。
「ステキだったから・・・その、あなた・・・」
「・・・・・・」
呆気に取られ、一瞬、顔を見た。
「って、いうのは真っ赤な嘘ですけどね」といってハハッとバツが悪そうに軽く頭をかいてみせた。
着慣れないドレスを着て、実際、居心地の悪さを感じながらそこに座っていた私のとなりのイスにやにわに腰をかけた。
この不躾な事実をどう処理したものか、困惑は隠しきれなかった。
さも、あまり長居をする気は無いといった風情で、いすに股を大きく開いたまま浅く腰かけ
「僕、写真家を目指してるんですけど、傍ら、この会社のようなものもちょっと・・・」
「・・・・・」
「最近は、インターネット上で自分の写真が簡単に公開できるし、それを買ってくれる人がいれば
そこそこの収入にはなるんですけどね、いや、この会社は数人の仲間と経営してます。
変な名前ですか?」
「いや、あの・・・狂った?って・・・マニア?」
「狂った?っていうのはエム、エ〜、ディーじゃないですか?よく見てくださいよ?真ん中ユーなんです」
「え?」
もう一度、名詞を見直すと確かに「MAD」では無い。
「MUD」だった。
起こった事態に気をとられ、勝手に勘違いを起していたらしい。
でも本当ならば、形容詞に変換されてなければならないはずだと密かに思った。
「間違いじゃないですか?」と切り返そうと思った言葉を呑みこのんだ。
(それにつけても、なんだか不穏な名前。泥?だったらダーティーのほうが?)
初対面、それもほんの一時、いらぬ詮索は止めようと思い心にしまった。
どれほどの間があったのかは覚えていない。確かにそう感じた名前。
今となっては、それが仇だったのかもしれない。
曰く「世の中の汚れた部分も、全て写真という記録で表現したい」のだそうだ。
「今、サイパンから帰ってきた所なんですけど、どうせ通り道なので、ちょっと寄ってみたんです。
このホテルのホームページを飾ってる写真家が好きなので、どんな建築なのかついでにちょっと
確かめようかと思って、いや、ほんの思いつきだったんですけど、思った以上のホテルですね」
そういって、カウンターの上の黒く光るカメラをまた手に取った。

